『遊天荘』の復興・維持を行いながら、武道や空手道を通じた江上茂の教えを後世に伝えます

君影草 完全版 第2章 第4話 『二男誕生と、空襲』

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二男誕生と、空襲
 

四月になって、又主人は上京してしまった。頼んでも無駄な事で、もう胎児も動き始めているし、何時空襲があるかも分らない時だけに、あまりに冷たい主人に歯がみしながら耐えた。新聞でも、もう明らかに負けいくさで、アッツ、タラワの島の全滅など、明日知れぬ日々におののいた。

兄の市葬は五月始めに、小学校で行われた。知らそうにも、行方が分らないのでどうしようもない。東京は随分とひどい模様である。仕方が無いから、私がせり出した不格好な姿で出席した。親戚も多いから大変な人数である。戦勲をたたえる弔辞が次々と長々と読まれる。あ、あの人が、あの人が、と知り合いの若い人の名前が読み上げられる度に、静寂な雰囲気が立ちこめる。そして焼香が行われ、いよいよ兄の名が読まれた。父・姑・そして姉と前に出ている時、不意に横の戸口から、ぬっと髭だらけの主人の姿が上って来た。びっくり驚した。兎に角焼香に間に合った。それは何か霊が引いたような、錯覚を覚える出来事であった。仲のよかった兄弟、兄もさぞ喜んだ事だろう。

主人は駅に着いた家の方に向う途中、学校で市葬があるのを知ったそうだった。もしやと、覗いた時、丁度兄の焼香の時だったのだと、自分でも運命の不思議さを感じたと言った。

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