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「え、?」今主人が何を言ったのか、 ふざけていったのか、瞬間、私には分からなかった。
「金が無くなったから、饒頭を作って賣れっていってんだよ」
主人は涼しい顔をしている。
「嘘でしょう、まさか?」
「嘘なもんか、本当に無一文ってわけだ」
「そんな馬鹿な、あんなにいろいろ買物したじゃありませんか」
「そうさ、だから一文無しになってしまったのさ。」
「急に鰻頭、作って賣れって云ったって、材料が手に入りませんよ」
腹を立てている私だけれど、この人に言われると、先づびっくりして、うまく言えなくなるのだ。
「そうか、材料は買ってなかったか。」