『遊天荘』の復興・維持を行いながら、武道や空手道を通じた江上茂の教えを後世に伝えます

君影草 完全版 第2章 第9話 『子供と遊ぶ』

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汐川で前田さん家族

荷物は普いているから、との言葉にやっと眠った仁士を抱いて、ほんの近い、借家へ案内された。母屋はかなり広い。道をはさんで、隠居がある。農具をしまった横に、小さな框があって、六畳一間、半間の襖、小さなトイレ。座敷の真中に小さな古い机と、火鉢を借してくれた。蒲団と衣類そして少しばかりのお勝手道具の四つの荷物。それが私達の全財産であった。大家には牛肉を少し買ってきたので、渡すと遅いから又明日と印象も無かったのは、裸電球の逆光線のせいだったのだろう。

「ではゆっくりおやすみ」古川の小一父さんは、やかんに一杯の水を汲んで来て机に乗せると帰っていった。追われて追われ、とうとう房州の果てまで逃げて来た。ゴーゴーと時折響くのは何であろう。蒲団をぴったりくっつけて、何が出て来るのか分からない、之からの生活を不安がらなくて何であろう。生きて行けるのであろうか。苦しい時の神頼みとは云っても、神も佛もあるのであろうか。結婚以来十年に近い、十月二日は今も私は訳もなくふるえる。まるで役立たずのように追われた。口惜しさ、無念さ、私はもう一度主人を男にしてみせなくては、三人の子供を兎に角、成長させなければ・・・果たしてどんな目が出るであろうか。努力と言っても程がある。口惜しい、悲しい。そう思いながら、魚の腐ったように疲れた顔をした私もついに眠りに入っていった。

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