『遊天荘』の復興・維持を行いながら、武道や空手道を通じた江上茂の教えを後世に伝えます

君影草 完全版 第3章 第6話 『家出後の十年』

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新しい家が建ってから、少しはお客様が多くなった。やはりバラック時代は、人が見えても落着けず、子供達のかくれ場所もなかったから、暴れたい少年期の子供にとっても、家が建ってから二階か子供達の城になったし、私達も落着いて話が出来る様になった。

柳沢さん、高木さん、水上さん、中大の夜間稽古の人達、辛夷会の連中、何時も空手の話題から、立ち上って手本を求める熱心さで、主人はその度に親切に教えていた。

柳沢さんは、歩いて四十分位の所だったからよく遊びに見えた。

無骨な指先で折り上げる折り紙が、上手であった。四角い形がまるで魔法にかけられた様に、いろいろな物に変った。子供達をとても可愛がってくれたから、子供達にも人気があった。

夏は、子供達に食べられるだけ西瓜を食べさせてやろうと、丸いのを三個求めて、一人に一個宛食べさせてくれた。流石一ヶは誰も食べられなかったが、そうした満足感がとても私達を幸福にした。

秋は亦、おはぎを作って子供達に腹一杯食べさせてやりましょうと、餅米、小豆、砂糖を揃えてくれて、私は一杯おはぎを作った。

甘いものの好きな主人、子供と一緒になって、作るそばから食べた。子供達も大人も、腹一杯になると、それは楽しくなってよく笑って饒舌った。

そんなあたたかい心が、通じて子供達もあのおせんべいみたいな薄い下駄の音か聞こえると、
 「あっ!柳沢の小父ちゃんだ」
と、玄関に出て行くのであった。

今も、あの懐しい頃を思い出して、涙がこぼれそうになる。

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