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学習院大学の空手部の三十三年卒業に、永沢詢さん、深沢三千人さんがいた。この二人から主人は結婚の媒酌を頼まれた。もとより柄でもないので、最初はお断りしたのだけれど、たっての願いでお引き受けするはめになった。何のお祝いも出来ないのが心苦しかったが、兎も角、東京へ出ての最初の媒酌だったと記憶している。
もう、式場も何処か、都心の宴会場だったと思うが忘れてしまった。
とても、明るくて、さわやかな新夫婦が出来上がった。
日頃、座談はとても上手で、人を楽しませる主人が、改まる席で話すことはとても嫌いで、コチコチになるのが私にとって、自分迄が固くなって、心の中でうまく責任を果たしてくれるように祈っているのだが、脇の下にぐっしょり汗をかく程緊張した。紙に書いて行けば、と私は言うのだが、決して書かない。それを見ながらしゃべるのは嫌だという。だから至って短い挨拶で、時にはもう少し詳しく紹介してあげればいいのにと思う。