『遊天荘』の復興・維持を行いながら、武道や空手道を通じた江上茂の教えを後世に伝えます

君影草 完全版 第4章 第7話 『円形脱毛症』

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伊勢志摩観光ホテル

「ええッー。」

主人は手で右のうしろ頭を押えた。円形の二糎半ぐらいの禿の部分に手をやると、ギョツとした顔をした。

一夜でこんなに見事につるりと丸く禿げるものか。台湾ぼうず-そんな名のついた円形脱毛症というもの、話には聞いた事があった。心配事とか、なにかの衝撃があった時、一夜のうちになると云う事だか、まさか主人がそうなるとは、夢にも思わなかった。

鏡を引き寄せて、合せ鏡をして眺めている主人。でなくても、少しづつ毛が薄くなって来ている昨今、主人にしてみれば晴天の霹靂であろう。気になる事ではある。

「もう嫌だ。本の出版は止めて貰おう。今まで掛った金は、この家賣って拂うぞ」と言う。

「・・・・・・」

出来るなら、私もそうしたい。先生は人気が無いの、だの、法外な、一万五干円とつけた値段に、私も嫌気がさして来ている。けれど、である。家を賣って胸の溜飲は下げられても、家無しになった我等一家四人は、之からどうする?雨露を凌ぐ事が出来るから、暮らしていかれるので、家が無くなったら、一体どうすればいいか?

二人で頭をかかえ込んでしまった。

出るのは溜息ばかり、そうなると、すぐお金は払い込みます、と力をつけてくれた人々の顔が浮び、何故?何故?と疑わしくなる。口先ばかり、うまい事を云って慰めてくれたのか?

まさか?それにしても、もう半月になると云うのに、どうして?誰を信じろと言うのであろう。

もう誰も信じられない。信じたく無い、主人も私も極度に落ち込んでしまった。電話を掛けて聞くのも恐い。恥かしい。そういう時に限って、誰も来ない。主人の禿はなるべく見ない様に、話が其処に行かない様に、あらかじめ子供達に言い含めた。

さて・・・

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