『遊天荘』の復興・維持を行いながら、武道や空手道を通じた江上茂の教えを後世に伝えます

君影草 完全版 第4章 第9話 『主人と交友関係』

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能登にて

此処で私は少し主人の交友関係を書いて見ようと思う。

主人は、晩年、空手関係の人との交際が多くて、その他の友達とは数える程しか交際は無かった。空手による友情の絆が、どれほど堅いものだったか、私は身に沁みて感じた。空手の友達の事は之までにいろいろ書きもし、又この先も号を追って書いて行くつもりでいる。

昭和十六年十二月三十日、結婚式で四人の友人の記憶がある。大勢集まったらしいが、この四人以外私は覚えていない。

須藤さん、豊住さん、河原畑さん、トラしゃん。

須藤さんは、早稲田大学の商学部で一緒だった人。秀才だったそうだ。福島県会津喜多方の農家出身で、家が貧しく、月に十円位の送金しかなかったので、大変苦しい思いをして、何度退学をしようとしたか分らない暮らしを、主人が見かねて手をさしのべた由、何しろ毎月百円の送金をして貰い、学生生活をエンジョイしていた主人の事だから、何がしかの援助は出来たのだろう。

学費を出したり、食事をさせたりはずっと続いたそうだが、或る時、盲腸を我慢して腹膜炎を起し生命も危くなった時、主人は愕然として、黙って我慢した須藤さんをひどく怒って、病院に入れ手術させ、あやうい生命を助けられた、私は須藤さんの口から聞いた。

主人は白い嘘をついて、郷里の父から送金をして貰い、ゆっくりと須藤さんを療養させた。後日、主人の父は、
「茂はうまい事云って、俺から金をよく送らせたが、あいつは、自分が遊ぶ為に使ったのじゃ無かった事は、分かっとる」
と言っていた。

「奥さん、江上をよろしくお願いします」
と、深々と頭を下げた須藤さんの胸中が、今切々と私には伝わって来る。

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