『遊天荘』の復興・維持を行いながら、武道や空手道を通じた江上茂の教えを後世に伝えます

君影草 完全版 第4章 第12話 『遊天荘 落成』

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毎年「空手道専門家に贈る」を執筆の為に出かけていた長野県小県郡東部町新張は、大変主人が気に入って、
「こんな所に山荘が有ったらいいな」
と、所詮かなわぬ事と知りつつ私にそう言った。

本当に、と相槌を打ちながら、毎年東邦大学の人達が世話をしてくれて、涼しく筆を取る事が出来るだけでも、どれ程有難いか分からないと思った。

それは、私達の間のこうなったらいいな、と思う程度の思いで、それは到底出来る筈も無い事、主人は「無いものねだり」と笑うのであった。

馬込の私達の家は、以前は畑の中で、風が四方から入るから新聞も飛んでゆく程涼しかった。暑い夏の日でも扇風機が無くても過ごせた。それが四、五年のうちに、詐欺にかかって地主に土地をぎりぎりにつめられて、ただ立ちのきを迫られなかったのがせめてもの幸運で、東西北に小さな家が建てられてしまい、そうでなくとも盆地なので、風は全く入らなくなり、絶えられない蒸し風呂の様な住家に変ってしまった。

以前の涼しさの記憶が嘘の様で、夏は炎熱地獄であった。

涼しい所で夏を過ごせたら、毎年そんな思いにさいなまれた。言うまいと思っても、口にでる言葉が、どれだけ主人の胸につきささっただろうと思うと、今更のように済まなかったと思う。

そんな思いは通じるものであろうか。たまたま高橋是善さんが開拓地であった場所を造成していた事がきっかけになったのか、主人の思いが伝わったのか、思いもかけぬ山荘建設の話が持ち上がっていた。先生に山荘暮らしをして戴こう。若い人達の心からの思いがそんな計画を纏めるに時間はかからなかった。主人と私は鈴屋山荘より又かなり奥まった山林の一角に案内された。

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