『遊天荘』の復興・維持を行いながら、武道や空手道を通じた江上茂の教えを後世に伝えます

君影草 完全版 第6章 第6話 『宇佐美忠雄さんの事など』

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主人と宇佐美さん

東急空手道場の宇佐美忠雄さんが、出わただしく一枚の紙を持ってやって来た。

「先生見て下さいよ。昨日家内とニ人東邦医大に検査をして貰いに行ったのだけど、家内は二千円位拂いましたが、私はこんなに取られました。」

なる程、宇佐美さんが広げた医療請求書は、奥さんの十倍近くの額であった。

「同じ検査なんですよ。おかしいでしょう」
と、しきりに首をひねる。納得がいかない風で、誰か東邦医大の人に頼んで調べてもらいたい、と、言う事であった。私達は、見ても分らないから誰かに聞いてあげますよ、と言ってその時は宇佐美さんを慰めた。

宇佐美さんは、晩年生まれた一粒種の洋一ちゃんをつい先頃亡くされたばかりであった。

洋一ちゃんをそれはそれは可愛がって、勉強なんてどうでもいい、印刷屋を継がせるからと、思い切り遊ばせて、時には夫婦そろって洋一ちゃんを嵌んでサイクリングの途中だと云って、寄ってくれた事もあるが、そんな時の宇佐美さんは本当に楽しそうだった。

本当に、掌中の珠として育てた洋一ちゃんが、小児癌にかかって幼い生命を奪われた。

二、三度お見舞いに行ったが、無邪気に看護婦さんに遊んでもらい、私達にも何も知らず甘えてくれたが、癌は容赦なくほんの短い期間で天国に召されて行った。宇佐美さん夫妻の悲しみはどんなものであったろうか、気の毒で気の毒で身体が震えた。宇佐美さんは、洋一ちゃんの亡骸を背負って、一緒にゆくと泣かれたそうだ。

逆縁とは、何とむごい事。宇佐美さんは再び立ち上がれないのではないか、と思われた。

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