『遊天荘』の復興・維持を行いながら、武道や空手道を通じた江上茂の教えを後世に伝えます

君影草 完全版 第6章 第8話 『主人の性格』

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平研二さんと主人

主人はとても忘れっぽい人のように見えた。嫌な事があり過ぎて、忘れる事で逃げていたのかとも思うのだが、必要以外の事は皆知らぬと言うので、私が確か言ったと思っても「そんな事、聞いとらん。」の一言で逃げられた。

ずるい人、と私は呆れるのだけれど、主人の態度があまり堂々としていて、この人は本当に忘れたのかしら、とも思うのだが、まるで聞いて無いというのはどういう事だろう。

「面倒くさい事は、一切耳に入れてくれるな」と言った。近所の噂、親戚の出来事は、聞きたがらなかった。私の妹弟が来ても、話題が無いからつまらなそうで、だんだん足が遠のいてしまう。

ところが、空手仲間は違う。ころりと態度が違う。目つきが変る。嬉しくて仕方の無い様にそわそわする。驚く程饒舌になる。之には私も驚いた。知らん、聞いておらん、忘れた、と言う人が、空手の事に関しては全部記憶の中にある様なのはどう言う事なのであろう。

私は結婚後、いろいろ相談したい事があって、何度か主人に切り出そうとするのだけれど、主人は絶対話に乗ってくれようとはしなかった。

「自分で考えろ」の一言でさらりと逃げられた。生活の事も育児の事も、皆私に責任がかぶさって来た。どんなに私が困っても、苦しんでも、全く知らぬ顔の半兵衛である。勤めが終れば夕食を済ませて、さっさと道場に行ってしまい深夜まで帰って来ないか、友達を連れて来て何時までも歓談している。


都庁。大湊さん、柴田さん、北原さん

私は何時迄でも起きて、言われる用をしなければならなかった。

最初妊娠した時、風邪の様な熱が出てなかなか引かなかった。辛くて辛くてたまらなくても、朝起きて御飯を炊かなければならなかったし、夕方は又起き出して夕食の支度をしなければならない。近所の人が気の毒がって、台所を手伝ってくれたりしている時、帰って来るとひどく不機嫌であった。

あまり平熱にならないので、十日もたって病院に送ってくれたが、入口でポンと背中を叩いて、自分はさっさと役所に行ってしまった。

「こんな妊婦を今まで放って置くなんて」と医師は主人が居るものと思ってあたりを見廻したが、居ないと知ると大変怒って、主人を病院に呼びつけてひどく主人は叱られた。

即刻入院、と云われ主人は少ししょげた。そんな事があって、少しは考えてくれた様だけれど、私が満足する程には何もやってくれなかった。

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